「すばらしき映画音楽たち」感想”レジェンド映画音楽家の歴史に迫る!”

ドキュメンタリー

「すばらしき映画音楽たち」は、ジョンウィリアムズをはじめとした映画音楽家たちにスポットライトを当てたドキュメンタリー作品。名だたるレジェンド映画音楽家たちから語られる制作秘話にワクワクが止まりませんでした!

映画音楽の歴史から紐解き、人々の心に残る音楽を輩出してきた映画音楽家が紹介されていきます。この映画を観たことで、これからの映画鑑賞に影響を受けてしまうかもしれませんがご容赦ください。

本多らら
本多らら

超一流の製作過程は作品になる

目次

映画音楽の始まり

映画音楽の始まりは無声映画時代からすでに存在していました。無声映画とは、映像だけが流れて音響はもちろんセリフも含まれない作品。日本には活弁士と呼ばれる現代でいうアテレコをその場で行う職人のような人によって作品が形成されていたりする。

技術が発展したことで今では音楽を載せられますが、まだ技術がない時代には、シアターオルガンで生演奏を行なっていたそうです。

スクリーンの前で演者が映像に合わせて演奏します。事前に用意された楽譜を弾く時もあれば、アドリブで演奏したりとその当時ならではの臨場感もあったのかと思うと味わいのある鑑賞体験になったのではないでしょうか?

偉大な映画音楽家たち

ジョンウィリアムズは「ジョーズ・E.T・スターウォーズ」と誰しも一度は聞いたことがあるレジェンド映画音楽家の一人。作中の関係者は「天才、神」と頭ひとつ、ふたつ抜きんでた才能を発揮した人物として紹介されています。

E.T
当時の音楽制作風景が流れます。そこにはウィリアムズがスピルバーグ監督に試聴してもらう様子。楽しそうに音を奏でるウィリアムズと心地良さそうに聞き入るスピルバーグ、この二人のなんとも幸せそうなこと。偉人同士が信頼を寄せ合っている構図に観ていて嬉しくな
ってしまいました。

そんな二人から生み出されたE.Tのラストシーン。「親愛なる君へ」の音楽を手掛けたデボラルーリーが「音楽が全面に出てきて、音楽が主役になっている」と表現します。たしかに言われてみれば、月をバックに夜空を飛ぶシーンは映像よりも音楽の方が頭に刷り込まれているような気がします。

今と当時の熱量も当然違ったものだと思うと、当時劇場で観た子供たちがあのテーマ曲を口ずさむ様子が目に浮かびます。紹介としてE.Tとの別れのシーンが流れますが、音楽と相まって筆者の涙腺は決壊いたしました。

ジョーズ
スタジオミュージシャンのデヴィットエワート曰く「20FOXで全てが変わった」そうです。ジョーズといえば”ダーダン”から始まる2音が有名ですよね。スピルバーグ監督はジョーズ制作インタビューで「ジョンウィリアムズは80歳近くの大御所をイメージした」といいます。

代表曲の案が監督に渡った当時、まだお互いに面識がない状態。そんな中ジョーズのイメージを聞いただけで、ジョーズのテーマ曲を弾いてしまったそうです。

ここまで不安を掻き立てられる曲をイメージだけで制作しますが、スピルバーグ監督はジョーズを”シリアスな映画にしたい”という思いで却下寸前のところに、サメという恐怖を描くジョーズに「本能に訴える映画はこれでいい」というウィリアムズきっての説得により採用されました。

このエピソードを聞いた後、ジョーズのテーマ曲を試聴。導入の2音が獲物を追いかける映像が浮かびました。(影響されやすい性質なだけだったりして)

スターウォーズ
劇場でオープニングファンファーレが流れた瞬間に感動する筆者ですが、スターウォーズが生み出した影響力は計り知れないものがあるそうで。エピソード4を劇場に観に行った音楽家たちは当時を鮮明に覚えていて、むじゃきに語る姿が愛くるしく映ります。

なんと言ってもエピソード4のラストシーンは多くの映画音楽家たちいが映画史を変えたと豪語。壮大な冒険から日常に帰ってきたルークを表現したラストシーンは今見ても興奮します!

ハンスジマー

ライオンキングやグラディエーターなどハンスジマーの音楽はアカデミー賞をはじめ、数多くのメディアで高く評価されています。映画音楽家たちが”革命児だ”とまで言わしめるハンスジマーに迫ります!

グラディエーター
剣闘士が題材の作品なので音楽も暴力的・攻撃性の高い表現を中心に構成されていました。かと思えばラストに描かれる麦畑に手を添えて歩くシーンは、暴力とは縁のない描写。ここで女性ボーカルの詩的音楽によって作品と同じくらいハンスジマーの名前が広まることとなりました!

パイレーツオブカリビアン
音楽での作中描写に長けているハンスジマー。表現力も豊かで音作りの幅があり、弦楽器をギターのように扱って映画音楽界に激震を起こしたのが”彼こそが海賊”厳密に言えば弟子にあたるクラウスバテルトによって作曲されましたが、原曲を生み出したのは間違いなくハンスジマーその人です。

“彼こそが海賊”というタイトルの通り、音楽だけを聞いて”海賊”がイメージ出来てしまいます!

ダークナイト
ハンスジマーの得意分野とも言えるシンセサイザーとオーケストラのミックス。ダークナイトでは作中に流れるビートによって、常に緊迫感を煽られてより一層没入してしまいます。不安を煽られながらもシンセサイザーとオーケストラの切り替えの気持ちよさはぜひダークナイトを観て味わって欲しいですね。

ダークナイト以降クリストファーノーラン監督作品にも参加していてシンセサイザーとオーケストラのミックスの心地良さやビートによる作品への没入感に磨きがかかっているようにも感じます。

トレントレズナー&アッティカスロス

ソーシャルネットワークでタッグを組んで以降様々な作品で映画音楽を生み出した二人。出会ったきっかけはソーシャルネットワークの監督だったデヴィットフィンチャーが音楽作りに独創性を求めいていたことがきっかけなんだとか。その結果採用されたのがナインインチネイルのトレントレズナーでした。

アーティスト色が強かったトレント、デヴィットフィンチャーからの依頼に喜んだものの題材がfacebookだと知り愕然としたそうです。そこで題材がシンプルだからこそ音楽に複雑性を求める考えにシフト、監督が求めた独創性に応える形になりました。

共同したアッティカスロスは感情の機微を汲み取ることに定評があり、トレントとの新しい音楽作りは高い評価を受けてアカデミー賞にもノミネート!多くのアーティストと共同するアッティカスロスですが、やはりソーシャルネットワークでの息が合ったことでその後の仕事もトレントとのタッグが一番多いようです。

映画音楽の魅力には、画面で起きていることが何をあらわっしているかを表現できる強みがあります。

・感情を煽るようなシーン
・無音でクールダウンするシーン

観客の感情をコントロールできる演出は、作品と観客を繋げる架け橋だ感じました。

この作品に触れて映画音楽に対する思い入れが出来てしまい、これから観る映画で感情がグッと入るシーンでは音楽の方にも意識を向けて、作品への思い入れが強くなりそうです。

タイトルとURLをコピーしました