職場・学校で人間関係の悩みは付きまとうもの。さらにSNSの発達によって、他人との距離感が近くなりましたよね。
応援する人の私生活を感じられて嬉しいこともある一方で、知り合いや友人の私生活と自分を比較して落ち込んでしまうことがあると思います。
思いやりを重んじて、謙虚さが美徳とされる日本では自己肯定感が低くなる要因の一つだと考えられます。
「無神経な人に傷つけられない88の方法」を読んで、全てに当てはまるものではなかったものの、読みながら「自分なんて必要とされない存在なんだろうなあ」なんてことを思っていた頃を振り返ることが出来ました。
この記事が、この頃の私と同じように人間関係に悩んでいる真っ最中のあなたにとっての救いになれば幸いです。
どんな環境でも人間関係は悩みの種になる、、
本書の進行に沿って記事を書いているので、対策方法だけ読みたいという方は
「「無神経な人に傷つけられない88の方法」感想レビューの人間関係に疲れた人への処方箋」を参照ください。
「無神経な人に傷つけられない88の方法」はどんな本?概要を紹介!
本誌紹介
タイトル | 無神経な人に傷つけられない88の方法―「心の感度」の高い人ほど人間関係に悩む |
著者 | 岩月謙司 |
出版社 | 大和書房 |
出版日 | 2002年6月1日 |
ページ数 | 214ページ |
本書では人間関係における悩みの種となる要因や対処法が記載されていました。
全ての人に当てはまるかと言われるとそうではないでしょう。しかし「全て自分の事のように読んで欲しい」と著者も言うように私事として読む必要があると感じる内容でした。
それは、相手を傷つけると言う行為は相手への配慮・想像力がないからだと考えます。
「これを言ったら傷つかないかな?」 「こうしたら喜んでもらえるかな?」
などの配慮・想像力が必要です。想像力は0から簡単に生み出せるものではありません。過去の経験や事例を思い返したり組み合わせることで想像力は養われています。
なので本書に書いてある内容は自分のことのように読む必要があります。
人間関係に疲れることも傷つかない対処法も知ることは、同時に誰かを傷つけない方法にも繋がっていると、本書を読んで感じました。
人間関係に疲れている人は日本全体で増えている?
本書を紹介する前に、現代人がどれだけ人との関わりに悩んでいるかを知ってもらいたいと思います。
人間関係に疲れている人は、時代が進むにつれ増えています。その理由は国が行った調査からも確認できます。
内閣府は「子供・若者の意識調査」なるものをしていて、この調査の対象は「13〜29歳の男女計10,000人」で2019年11月から1ヶ月間の期間で行われました。
「今の自分が好きだ」と答えたのは46.5%、2014年に行われた同じ調査の結果から約2%向上しています。
「今の生活が充実している」と答えたのは68.9%、「自分の将来について明るい希望を持っている」と答えたのは59.3%、前回の調査結果からいずれも低下しています。
「自分は役に立たないと思っている」と答えたのは49.%
これらの調査結果から、個人だけで考えれば自信を持てる人が多い一方で、将来や人やなどのモノと比較した時に自己肯定感が低くなる事がわかります。
その一方で、
「自分が好きなことと人間関係って関係なくない?」 「将来の不安なんて今の人間関係に比べたら全然マシ」
と関係性がわかりづらく感じられた方もいるのではないでしょうか。
確かに生活も将来も自分の事だから、自分が好きでいられればそれで良いと思ってしまいますよね。ではSNSで誰かの投稿を見て「それに比べて自分なんて」と思ってしまう事はないでしょうか?
自分の性格で落ち込んでしまう時は誰しも、対象となる相手が居て自分を顧みている事が多いと思います。
生活や将来も同じように、対象となるのは現状や誰かの輝かしい経歴と比較した結果、不安に感じて居ます。
誰とでも繋がれて、人との接点が増えた現代で人間関係に疲れる人が増えるのも当然だと言えます。そして、そんな時に限って誰かの何気ない言葉で傷つくということを私もこれまで何度も経験してきました。
そうした悲しい場面をどう乗り越えれば良いかを本書で88の方法で教えてくれています。
「無神経な人に傷つけられない88の方法」感想レビュー
ここからは本書の内容について紹介します。
人間関係の悩みは誤解から生まれる?
なぜ人間関係の疲れはなぜ起きるのでしょうか?その要因の一つに人の数だけ個性があるからです。感性も個性のうちの一つで、
「そんなことで傷つくの?」こんな心許ない言葉や態度で感性を否定されれば人は個性を否定されたように感じてしまいます。
集団社会の中で生きていると、他人の行動に合わせるなどの同調意識が強くなる傾向があるといいます。
しかし和を重視することと感性を否定することは別問題にも関わらず、「自分の感性が唯一絶対」だと思っている人は自分と違う感性を持つ人を認めません。
このように一人一人の感性が合わない上に、人の感情に敏感な事が人間関係の疲れの根本とも言えますね。
同じ感性を持っているであろう”みんな””としてではなく、目の前にいる相手を見る必要があるんです。
人には我慢の限界がある
とはいえ、人が我慢できる限界には個人差があります。
「話し合いをすればなんとかなる」 「話し合っても和解が出来ないのはどちらかがワガママだから」 「和解しない人は変」
などそれぞれが持つ感性次第で我慢出来るレベルが違ってきます。
これらを読んで私はオペレーター職時代に「話し合いをする気もない人もいること」を思い出しました。最初から話を聞く気のないクレームや決めつけで話を通そうとする人がいます。
人によって我慢の限界には差があり、我慢を強要するのは難しいことなのです。
心の深度
著者の岩月さんは、人が人を評価する時の判断に、
浅いところで繋がり合う人
深いところで繋がり合う人
で分けらえるといいます。
人間関係に悩むあなたは、どちらかと言えば心の深いところで繋がり合いたいと思うことが多いのではないでしょうか。
しかし世間一般では、心の深いところで繋がり合う人少数派なので、気の合う仲間を見つけるのが難しいと感じてしまいます。
心で通じ合おうとしても、心の深いところで繋がり合うことを目的にしていればいる程に希望の出会いは遠ざかってしまいます。
どちらが正しくて、どちらが正しくないということではないのですが、悲しいことに心の繋がりを求めなければ友達が作れるようになりやすいと思います。
他の人の話を聞いていても「この人とは何も考えなくていいし、合わせに行かなくても話しやすくて良いなあ」となんとなく最初からこう思っていた人がいたそうです。
「相手のことを理解したい、私のことを理解してもらいたい」という考えを一旦置いてから人と接すると気楽な人間関係を作れたりして、結果的に心の深いところで繋がり合える関係になっていたりします。
トラブルメーカーの存在が大きすぎる
トラブルメーカーというのは、その存在の気配があるだけで疲れてしまいます。
人は我慢の限界を超えると、冷静な判断は出来なくなってしまい、攻撃的になってしまいます。この時の攻撃方向が「自分(内)に向いているか相手(外)に向いているか」性格次第です。
トラブルメーカーと呼ばれるような人は、外に向けているにも関わらず、周囲に危害を加えている自覚がありません。
こういう人は悪意を持って危害を加えているわけではないので、注意しても反省の色がないどころか、むしろ「注意される筋合いがない」と被害者側に回ることもあります。
このような特徴を持つ人が上司の場合が厄介だと想像できるのではないでしょうか。
例えばこうした上司について、同僚に悩み相談しても、相談相手がその上司を尊敬していると、相談したあなたが同僚にとっての「感性が違う人」として見られてしまいます。
このような例がないとしても、人間関係に疲れやすいあなたなら「トラブルメーカーは常に最悪の行動・言動を取ってくるに違いない」と嫌でも想像力が働いているかと思います。
何をしてくるかわからないトラブルメーカーの存在は、人の感情に敏感なあなたにとって存在が大きいと言えるでしょう。
難しいとは思いますが、トラベルメーカーのやることはあなたにとってストレスの発生源ならば無視するしかありません。あなたの貴重な人生をトラベルメーカーに支配されるのは勿体無いからです。
感受性が豊かな人は孤独になりやすい
心の感度が高い人は感受性が豊かとも言えますが、人の感情に敏感であればあるほど「自分の感情を理解してくれる人はいないかも」と思ってしまう事があり、次第に孤独を感じやすくなってしまいます。
「自分の苦悩も、みんなが本気を出せば簡単に解決できる」
「理解してくれようとしない冷たい人ばかり」
感受性が豊かなため、「自分が苦労しているんだから」と配慮を忘れてしまうこともあります。
集団の中でトラブルが起きた時、尊重されるのは多数派の意見で理解されないと思ってしまう感受性が豊かな人ほど世間を恨みやすくなるんだそうです。
「自分に出来たんだから出来ないはずがない」と言う人がいましたが、日が経つにつれてトゲが強くなっていった人がいました。
このように最初から孤独なわけではないと思います。自分自身を信じてあげられなければ、他人との比較によって攻撃的な発想になり、結果的に孤独になるのではないでしょうか。
また感受性が豊かだと「こんなトゲのある言い方されたり、辛い対応をされるくらいなら」と自ら孤独を選択される方も多いように感じます。
人の悩みは共感で軽減できる
人の悩みは解決できなくとも、共感することで軽減する事ができます。一番良いのは悩みを解決することですが、簡単に解決できないのが悩みです。
自分が解決できたと思っても、今度は相手に悩みができたり、最悪もともとの悩み以上に悪化したりと悩みの種が増えることも。
一方では悩み自体が解消されなくても、悩みを打ち明けたり悩んでいる自分に寄り添ってくれる存在がいれば救われた気分になるのも事実です。
とはいえ悩みを打ち明けられる存在がいなければ救われないのかと言うとそうでもありません。「人の苦悩を救うのは共感」であり、心の繋がりは共感から始まります。
少数派の感性を持ち、人に理解されなかった経験は誰かの悩みを救うかもしれない
好きを大事にする
人は自分が体験したことしか理解できません。なぜなら冒頭にも言ったように理解するには想像力が必要であり、人を救うほどの理解をするには同じ体験をするしかありません。
そしてあなたを正しく理解してくれるのは、多くの場合があなたが「好き」だと思う人だからで、あなたが「嫌い」だと思う人から理解されることも愛されることも限りなくゼロなのです。
さらに話し合いだけで悩みを解決できる人は極一部の「好き」だと思える人だけ。話ができる貴重な人のことを、あなたと同じぐらい「好き」でいさせてあげてください。
心の深いところで繋がりたいと感じている人は「好き」という感情を大切にしていけば、濃い経験を得られるため、人への理解が深まっていきます。
愛があるから傷つくいても立ち直れる
人から傷つけられることに強くなるには、愛を持つことが大事です。人は幼少期の頃から、怒りと愛を持って成長してきます。
怒りと愛の比率は生活環境によって変わっていくのは想像できますよね。15歳までは親からの受ける愛の比率が大事だといいます。
15歳以降であれば、自分の生活環境を自らの意志で決めることが出来る人が目立ちはじめるからのようです。
生活環境を自らの意志で変えることが出来るため、大人になっても愛よりも怒りの比率が高い人は愛を育む努力が足りていません。
とはいえ誰でも怒りを覚えることはあるし、大なり小なり皆なにかしらの傷を抱えて生きています。
自分を変えられる環境にいるにもかかわらず、怒りを誰彼構わず振り撒いてしまうのは、怠惰な人間だと証明しているようなもの。
そして怒りを振り撒いている人のことを許す必要もありません。
しかしあなたが変わらなければ、傷ついたままの勿体無い生活を送ることになってしまいますし、なによりこの怒りに身を任せているような人と変わらないのです。
私ごとですが、社会に出てからあることないことで傷を負った経験もあり、
・どんなことをされると傷つくか
・どうすれば傷つかずに済むのか
と悩み抜いて眠れない夜を過ごしたこともありました。
悩むことは大事ですが、それ以上に悩みを解決する意志を持って自分を改善していくしかないのです。
これは誰でもないあなた自身が愛に満ちた人になって欲しいからだと心から言えます。
本書を読んで、私自身も改めて自分が傷つけられることに強くなるための愛を持つために、これからも
・怒らないための対策
この二つを意識していきたいと強く思いました。
心の感度が高い人の特徴
心の感度が高い人にはいくつかの特徴があります。心の感度の高い人は、自分の感情を言語化できないまでも認識することができています。
認識が出来ていると、自分の感情の変化はもちろん他人の感情の変化にも目が向くようになっていきます。
なので心の感度の高い人は人を見る目が養われていて、観察力に長けています。自分が気遣いをできる分、気遣いができないと相手から感じると傷付いてしまいます。
心の感度が高い分、人から受けた何気ない言葉も刺さってしまいます。
無神経な人に無神経なことをされた経験から心の感度が高い人は対人への恐怖心があることが多いようです。
心の感度が高い人は、辛い体験を無意識下で繰り返しています。なので相手の表情や言葉から心の痛みに共感する能力に長けているのです。
自分と同じぐらい相手に心の感度が高い人には相手の心の痛みに共感できて、心の感度が普通の人は共感ができないのです。
心の痛みの共感は特にしないとできないで大きく違ってきます。
心の共感ができない人は普段の行動からも何かしらの違和感を感じていると思います。心の感度が高い人はこの認識を持つと「この人は共感できない人」だと諦めるられると、期待するエネルギーを割かなくていいので楽になります。
人間関係に疲れた人への処方箋
言い訳をすると幸せにはなれないといいます。
ここでいう言い訳とは、責任を他者に押し付けることです。前述した通り、説明しても話が通じない人もいるなど、他者が原因の悩みもあるという話がありました。
そんな悩みを持つあなたに伝えたいことは、自分を信じることです。
どう信じればいいかと言うと、「原因は他者にあったとしても、解決策は常に自分が握っている」と信じることです。
誰かのせいにしていたところで状況が変わるどころか、悩みが解決されないことを悩むだけなので好転しないでしょう。
相手が変わらないのなら私が行動して変えてやるぐらい強気でいることが、結果的に自分自身を助けてあげることに繋がるのです。
心の交流は本当に必要?
自他ともに、人の感情に敏感な心の感度が高い人も人との交流を図りたいと思っていたりします。
敏感すぎるがゆえになかなか心を通じあえたと思える方がいなかっただけなのです。心で繋がれたと思える方との出会いはもちろん素晴らしいことです。
一方で心で繋がりたいことが目的になってしまって苦労されていることもあり得ます。関係を維持するためだけだったり、あなただけが気遣いや配慮をして消耗をするくらいなら孤独を選ぶのもひとつの選択です。
世間的に見れば「友達がいない人」だと思ってしまうかもしれませんが、世間は直接あなたを救ってはくれません。
傷つくるくらいなら、言わせておいてあなた自身のことを守ってあげてください。
直感に従うのも一つの手
対人恐怖症の要因の一つに、人への恐怖心が拭えないことから「この人信用していいのか」がつきまとってしまいます。
疑いを持つだけで表情に出て、相手に伝わっていることもあるでしょう。疑いは不安から来ることが大半です。
「この人に心を許せるのか?」
「この人を信用して良いのか?」
人を疑ってかかる人は、同じように疑ってかかる性質の人と仲良くなる傾向にあります。常に疑ってしまう人にとって、人を端から信じて接する人が胡散臭く思ってしまうからです。
不安は「良いようにしたい」という期待から生まれてくるので、期待しないことを意識するというのも一つの手です。
まとめ
「無神経な人に傷つけられない88の方法」では人から無神経な言葉や行動に傷つけられてきた、心の感度が高い人に向けられた寄り添ってくれる一冊でした。
シチュエーションごとの対応策はもちろん、なぜ心の感度が高い人になっていくのかや無神経になってしまう人の境遇までが理解できると思います。
知っているかいないかで今後の無神経な人との接し方も変えられるのではないでしょうか。この記事や本をきっかけに、改めて自分の感情と向き合う機会になってくれたら嬉しいです!