書きたい事があるけどどう書いていいかわからない
こんな悩みを抱えている人も多いと思います。
「文章は最後まで読んでもらうことが大事」だと言ったのは、ナタリーという「ポップカルチャーのニュースサイト」の編集長を長年務めた唐木元さん。
唐木さんはニュース記事を取り扱う編集者であり、編集を教える立場で未経験者がプロのライターになっていく姿を何度も目にしてきました。
そんな唐木さんは、「文章力とは最後まで読んでもらうこと」だといいます。読み手にとっても大事なことですが、それ以上に書き手には意識すべき言葉です。
なぜなら「最後まで読んでもらうこと=最後まで書き上げられること」でもあるからです。
私自身も文章に自信が無くて唐木元さんの著書「新しい文章力の教室」を手にとっています。
・全体像の把握
・文の構造をイメージする
・文章力を磨き上げる
この記事では、上記3選をご紹介します。
「伝えたいことが途中からわからなくなる」
「結局何を伝えたいことが伝わりきらない」
文章が書けない悩みを持っている方はぜひ参考にしてみてください。
◆文章力を鍛える基本ステップ3選
全体像を把握
いきなり文章を書き始めても必ず途中で迷って、最後まで書き上げることはできないでしょう。ゴールが頭に思い描けていてもその過程を明確に把握できないからです。
文章を書き始める前に準備が必要です。
・良い文章の定義
・文章の成り立ち
・テーマと構成について
上記3つを説明します。
良い文章の定義を考える
最後まで読んでもらうには、「良い文章を書くことが重要」だと考えた人もいるでしょう。ではどんな文章が「良い文章」かと言えば、唐木さんは「良い文章は時と場合による」といいます。
いきなり突き放すようですが、実際の文章を考えてみると雑誌と新聞と媒体ごとに良い文章が異なるのは想像つきますね。とはいえ掲載する媒体にまで頭が回ってたら苦労しません。
最初は明確な目標を掲げていた方が集中しやすいので、「最後まで読める」つまり「完読」とします。
・テンポが悪い
・誤字脱字が多い
・結局何が言いたいかがわからない
このようにネガティブな要素を解決してくれるのが「最後まで読める」の便利ところです。
文章はどのようにして成り立っている?
完読出来る文章を作る上で重要になるのが、文章の構造を理解することです。
文章の構造は、読み手と書き手を繋いぐ架け橋だと思っています。
文章はいくつかの層で構造されています。
1.言葉づかい
2.ロジック
3.事実
書く時に意識する順番は3.事実→2.ロジック→1.言葉づかいの順番です。
言葉づかい
「言葉づかい」を意識すれば読み手に寄り添うことができます。
情報が「事実」と「論理性」が整っていても、言葉づかいが悪いだけで読み手は受け付けなくなります。また「書き言葉」か「話し言葉」でも読み手が受ける印象が変わります。
パーソナルな情報を伝える時には「話し言葉」でも違和感はありません。
フォーマルな情報を伝える時には「書き言葉」が無難でしょう。
ロジック
「ロジック」は文章において一貫性や矛盾を指します。
一貫性もなく矛盾した文章では、シンプルに読みづらいです。「結局何を言いたい文章なの?」と思われて最後まで読まれることはないでしょう。
話に一貫性があれば、読みやすいだけでなく書き手に信頼を置けます。文章が読まれない現代では、信頼を獲得することは完読への近道とも言えるでしょう。
事実
「事実」とはかけ離れた文章では、ロジックが破綻してしまいます。
「知ってる情報と違う」と読み手が離脱してしまうからです。文章は人に情報を伝える手段なので、完読してもらうためには基本的に事実に基づいて文章を書くべきです。
日付や数字は特にシビアに調べて余りあります。
ここまで文章の成り立ちを紹介しました。
完読してもらえるだけでなく「これを書いた人は良い文章が書ける」と書き手への信頼を得ることも意識しましょう。
テーマと構成を決める
文章には必ずテーマがあります。文章が長くなれば構成も必要になってくるでしょう。
構成:伝えたいことを適確に伝える方法
テーマ
自分が伝えたいことがテーマと言えます。
・報告したいこと
・相談したいこと
に置き換えられます。
・ニュースにしたいこと
・興味をもたれること
と置き換えられますね。
情報をインプットして、アウトプットする時に一番伝えたいことがテーマになると考えてみてください。
構成
テーマについて十分に伝えるためには、構成が必要になります。
長い文章を書く時にはそれだけ多くの情報があるということ。
「必要な情報をどの順番で伝えれば読み手に伝わるか」を考える必要があります。
あなたの伝えたいことに納得してもらうためには、構成が重要です。
文の全体の構造を作る
ここまで読んでくれた方なら想像する通り、まずは構成を作るところからがスタートです。
テーマが決まったら、どう伝えれば良いかを考えていきます。
伝える順序を理解できていなければ、書いてる途中で「結局何が言いたいんだっけ?」となってしまうことでしょう。
必要な話題を書き出していく
テーマに沿った話題を箇条書きで書き出していきます。
書き出すことで、情報の過不足がないかを客観的にも確認ができるからです。
・伝えたいこと
・感じたこと
を書き出していくと整理しやすいでしょう。
さらに「その情報が正しい根拠や伝えたいと気になった理由」も書き出すとよりスムーズに文章が出来上がります。
伝えたいことや感じたことは、あなたの感情が動かされたことです。
人には共感性があるので、文章で伝えれば読み手も感情を動かされることでしょう。
書き出した情報からテーマを決める
書き出した情報からテーマを決めていきますが、注目するポイントは3つ。
・要約できる情報であるか?
・興味が持てる情報はあるか?
「伝えたいこと」があれば、そのままテーマにすれば良いでしょう。もし無くても諦める必要はありません。
つまりこういうことが言えるなと「要約=あなたの価値観」であり、伝えられることでもあるのです。
共通することはないかを情報ごとにグループ分けをしてみると見えてきます。
共通点も見えない時には、興味が魅かれる情報がないか見てみましょう。
「こんなことを感じた」も立派な主張になります。次に必要になるのは主張に説得力を持たせるのに必要な根拠を探してみましょう。
ここまでで書きたいテーマがないなと感じてしまった場合、あまりそのことに興味が持てないのだと思います。
無理に書こうとして書けるものでもないので、距離を置くことも大事です。
構成は伝わりやすいことが前提
伝わる文章にする時には「PREP法」が有効です。
結論:Point
理由:Reason
具体例:Example
要点:Point
これらで構成されるの構造モデルで、読み手にも書き手にもわかりやすい構成です。
読み手は、「結局何が言いたいの?」と疑問を持ちながら読むことにストレスを感じます。
書き手も、「結局何が言いたいんだっけ」とダラダラと文字を積み上げがち。
結論:導入「最後まで読んでもらうことが大事」理由:導入「最後まで読んでもらうこと=最後まで書き上げられること」具体例:基本ステップ要点:本記事の結論
PREP法を使えば、ロジックも損なうことなく伝えたいことが書き上げられます。
長い文章を書く時は構成シートを作る
PREP法を使った構成は文章全体だけでなく、項目ごとにも使えます。
入れ子のようにPREP法を使うことで、細部まで迷いなく書けるからです。
①結論
1.結論
2.理由
3.具体例
4.要点
②理由
③具体例
1.結論
2.理由
3.具体例
4.要点
④要点
このような入れ子構造で、思考の整理もできます。
構成と本文を同時に頭で処理するのは大変なので、先にこうした構成を作っておきましょう。
最初は構成を作るのも一苦労しますが、書きたいことを把握できるのでやり直しが少なくなります。最初から文を書くよりも断然楽ができちゃいます。
文章力を磨き上げる
書く順番も決まったら、ここではじめて文章を書いていきます。
事実に基づいて論理性も整っている丁寧な言葉で書かれた文章であれば、最後まで読まれる確率は高まります。
さらに最後まで読んでもらえる人を増やすためには、「最後まで書いた文章を読み返すこと」です。
正直に言うと、当たり前すぎて意識が欠けていました。。
簡単なことのように思えることこそが大事。
・意味
・字面
・語呂
これらが読み返す時の判断材料です。
客観的な視点で自分の文章が驚くほど読めます。
意味
文が破綻していないか、「意味」の観点で読み返しましょう。
・主語述語がわかりやすい
・誤字脱字がないか
1番簡単な方法は音読してみることですね。
単純に書き間違い防止になります。読んでいてイメージがしにくければ読み手にも伝わりません。
音読をして伝えたい分になっているかをイメージしながら確認してみましょう。
字面
字面とは文章全体をパッと見た時に読みやすさです。
画像や動画が主流の現代で、文章は比べられないくらい受け入れられる人が少ないです。
・改行や句読点で余白を作って、1文に情報を詰め込もうとしない
・漢字とひらがなのバランスを意識する
ダラダラと結論に辿り着かない文章も途中で飽きられてしまいます。が、1文に情報を詰め込もうとする文章も同じくらいに読みにくいです。
一見論理性もあるように見えますが、着地点までが長いです。読み手にとってかなりのストレスです。
字面を意識して書くとしたら
・良い文章の定義(最後まで読んでもらうこと)
・文章の構造(言葉づかい・ロジック・事実)これらを意識することです。最初から文章を書き出してはいけません。読み手と同様書き手も「結局何が言いたいの?」と迷ってしまうからです。まずは、・テーマ
・構成
を作成します。
さらに書き上げた文章をさらに向上させるには、
・意味
・字面
・語呂これらを意識して読み返すと良いでしょう。」
縦に伸びてはいますが、読みやすさとわかりやすさが視覚的に伝わるかと思います。
・一文が短いから読みやすい
・箇条書きで要素がわかりやすい
このような構成で書けるのであれば、一度試してみてください。
読み手に伝わりやすい以上に書きやすいことがわかると思います。
語呂
語呂は、読んだ時に引っかからずに読める文章になっているか。
各媒体が記事のような長文になれば、伝わっていることと同じくらい読みやすいことも大事になってくるからです。
読んでいて気持ち良いのは感覚的な上にいきなり書くのは難しいですが、スラスラ読んでもらえる文は技術で改善できます。
・重複が少ない
・係り受けが整理されている
重複が少ない
文中に同じ表現が幾度となく出てくるとくどいと感じてしまいます。
「私」と「特技」が何回も出てきて読みづらさを感じたのではないでしょうか?
一文であれば表現を意識すれば問題ありません。
一方で、文章全体では表現だけでなく主張が重複していないかも確認してみましょう。
このひと手間が読みやすさをグンと上げてくれます。
係り受けが整理されている
係り受けとは、文中にある言葉同士の関係性を指します。
単文:主語+述語
重文:(主語+述語)+(主語+述語)
複文:主語+述語+(主語+述語)
※複文はいくつかの構造があるので、文の構造を解説したサイトを参考にしてみてください。
ここで言いたいのは、係り受けを意識しないと文の構造が入れ子になって読みづらいこと。
単文「私たちは海を目指した。」
重文「彼が車を運転して、私は助手席でくつろいだ。」
複文「彼の安全運転に、私は安心できます。」
入れ子構造の文章は、字面の項目で紹介したように読みにくさがあります。
上記を整理すると、
このように改善することができました。
読んでいて違和感やつっかえないためにも、語呂を意識する必要があると理解できたと思います。
◆【まとめ】文章力を鍛える基本ステップ3選
良い文章を書くには、「完読を意識すること」が腑に落ちたのではないでしょうか。
完読してもらうために必要なことは、「基本を十分に意識する」と、何事にも共通して言えることでした。
基本すぎるあまり意識し忘れることも多いかもしれません。
迷った時には、一度立ち止まって基本を見直して欲しいです。
書きたいことがあっても言葉が出てこないと悩んでいるようであれば、こちらの記事をおすすめします。
文章の書き方をより詳しく学びたい時には、唐木元さんの「新しい文章力の教室」をおすすめします。
こちらで学んで一緒に文章力を高めていきましょう。
◆「新しい文章力の教室」を紹介
-書誌情報
タイトル | 新しい文章力の教室 |
著者 | 唐木 元 |
出版社 | インプレス |
出版日 | 2015年8月7日 |
ページ数 | 208 |