頭の中ではちゃんと考えていたのにあの場になってなんで上手く言葉にできなかったんだろう
このような悩みがある人は、頭の中で浮かんだ言葉を本当に理解していないことが原因かもしれません。
著者の梅田悟司さんは株式会社電通で仕事をされていた経歴を持ち、ジョージアの「世界は誰かの仕事でできている」などの誰もが知っているようなコピーライティングを世に送り出している言葉のスペシャリストです。
そんな梅田さんが本書で伝える言葉の本質や思ったことを言葉にするためのステップは、いまの悩みを解決してくれる目から鱗の情報満載です。
◆【「言葉にできる」は武器になる。】まとめ
この記事では、本書で紹介されている言葉にできるようになるための訓練方法を紹介していきます。
訓練はいくつかのステップが用意されています。
2.連想して思考を進める
3.書き出した言葉を仲間分けする
4.視点を拡張する
5.時間を置いて客観的に見る
6.真逆の視点で考えを進める
7.違う人の視点で考えを進める
これらのステップを踏めば、言葉に悩んでいる人はもちろんのこと考え方を広く持ちたいという方の悩みにも答えられる訓練方法になっています。
言葉の本質
その前に本書でも解説している言葉の本質を理解することをおすすめします!この本質を理解した上で訓練に取り組めばさらに理解度が深まるでしょう。
7つのステップ
紙に書き出す
頭の中でどんなことを自分が考えているかを認識するためにも、書き出します。梅田さんはノートや付箋で何度も見返せるようにするとよいといいます。
悩みや解決したいことについて書き出していくと思います。この時に「関係ないかな?」「綺麗な単語じゃないな」とここではあまり悩まなくても良さそうです。
そして紙に書き出すもう一つの理由は頭の中を整理する効果もあるんです。頭の中には2種類の領域で言葉が浮かんでいるそうで、
事象に対して思い出していること。厄介なのは、記憶を思い返しているだけなのに思考していると判断して終わってしまいます。大事なのは思考領域の言葉を認識することです。
これに対して、
事象を理解・解決しようとしていること。思考領域の言葉を認識することで物事を覚えたり解決したりと考えることができます。
「話せただけでもスッキリした」という経験には、記憶領域の言葉を吐き出したことで思考領域の言葉を認識できるようになっていたんですね。
この効果を得るためにも紙に書き出す必要があるんですね。
浮かんできている言葉がを出し切った後に「これはこういう意味かな」と考えるステップもあるので、まずは言葉を紙に書き出してみましょう。
連想して思考を進める
書き出した言葉が記憶領域から浮かんだかは定かではありません。というのもここから思考領域に頭を切り替えていくからです。
さらに思考を進めるには、書き出した言葉を連想ゲームのように広めていきます。簡単には書き出した言葉に対して、
・それで
・本当に?
と自問自答します。
「それで」と問えば書き出した言葉を実現できたその先まで考えを進められそうですね。
「本当に?」と問えば考えを改められる上に、書き出した根拠も同時に肉付けができそうです。
このように連想ゲームのようにして思考を柔軟に広げていくことができます。
書き出した言葉をグループ分け
これまでの「紙に書き出す」「連想して思考を進める」のは主観が先行する作業です。書き出した言葉をグループ分けするためには客観性が必要になります。
特に「連想して思考を進める」だけを進めていると、関連する言葉だけで完結させてしまうとどうなるか?一つの視点だけで語るクセができて、その結果視野が狭くなります。
グループ分けをして、思考のクセに気づく機会を設ける事が重要になってくるのです。
視点を拡張する
グループ分けから思考のクセが感づければ御の字。最初は自分が書き出した言葉なので、言葉以上の意味が付いてしまいなかなか客観的に見ることができないでしょう。
ここは徐々にできるようになっていく段階です。焦らずにいきましょう。
「こんな考え方もできそうだな」「流石にこの考えに偏りすぎでは」「もう少し反対意見が出てもいいのでは」など客観的に見えれば、足りない視点にも気付いている証拠。
理想は重複も漏れも少ない思考ができれば、あなたの頭はMECE(ミーシー)と呼ばれる論理的思考の基本が備わっているのです。
時間を置いて客観的に見る
さらに自分の思考を客観的に判断するために一度言葉から離れてみましょう。
最初は夜書いたものなら寝てスッキリした頃に。朝に書いたなら労働や休暇で頭から書いた内容が消えるであろうその日の夜に。
自分の手元から離れることで言葉以上の意味が軽減されて書いた時に込めた感情が排除された言葉として読めるでしょう。
また梅田さんは、時間を置くことで生じるセレンディピティに期待されているようです。
セレンディピティとは偶然の産物という意味を持っています。この場合はの偶然は、書き出した言葉から離れている間に書いた言葉と目の前の物事が繋がる瞬間を狙っています。
製作作業で頭を悩ませなて行き詰まっていた時のこと、休憩とばかりにシャワーを浴びたところ打開策が閃いた経験が今にして思えばこの偶然の産物だったことがわかります。
このように熱中している時だけでなく、外部からの刺激によって新たな視点が生まれることを梅田さんは期待しています。
真逆の視点で考えを進める
「やりたい」→「やらなければいけない」
「私個人」→「チーム全体」
「継続してやる」→「計画的にやる」
書き出した言葉の真逆を出していきます。この時に根拠も挙げていると、抜けている言葉にも気付くことができるはず。
真逆としているのは、ネガティブな言葉にしないためでもあるようですね。
あくまで視点を広げるためなので、もともと書き出した言葉の真逆が出てきたからといって気に止むことはないようです。
違う人の視点で考えを進める
最初は自分が持つ主観からでしか言葉は出てきません。しかし違う人の視点を持った人はどうでしょうか?
作業者と確認者の視点を理解している人であれば、単純に2倍の視点を持っていると言えるでしょう。
違う人の視点を持つ時には、相手そのものというより立場に立ってみて考えると具体的な言葉が浮かんでくると思います。
よく言われるのは、自分よりも立場が2つ上の人の視点で考えること。
従業員→グループリーダー→【現場責任者】あなたが生徒の場合生徒→先生→【指導責任者】
私の場合ですが、学生時代・新卒時代の言葉にできないことで悩んでいた頃に本書を読んでいたらこのような立場の人たちで物事を考えたと思います。
この違う人の視点で考えで最もいいなと思えるのが、客観性が入るので自分の悩みが「え、こんなことで悩む必要なくない?」と思えることが多々あるからです。
視点を多く持てる最大のメリットが主観だけで物事を観なくて済むようになることです。
◆「言葉にできる」は武器になる。本書情報
本書にはさらに詳しい一例が書かれているので、興味を持った方はぜひ読んでほしい一冊です。
-書誌情報
タイトル | 「言葉にできる」は武器になる。 |
著者 | 梅田悟司 |
出版社 | 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版) |
出版日 | 2016年8月1日 |
ページ数 | 255ページ |
参考記事
頭の良い人だけが知っている常識「影響力の武器」をまとめた記事も参考にどうぞ。