【鍵泥棒のメソッド】あらすじ、感想

サスペンス

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今回は2012年9月16日に公開された「鍵泥棒のメソッド」です。

本作は、”第86回キネマ旬報ベスト・テン”で日本映画脚本賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
”第3回日本アカデミー賞”で最優秀脚本賞を受賞するなど、特に脚本への評価が高い作品です。

本作はこんな人におすすめ

「大人のピュアな恋愛模様をみてキュンキュンしたい」
「殺し屋と役者の卵が入れ替わったらどうなるかというミステリー物を楽しみたい」
「「オーシャン11」のような練り上げられた計画とアドリブで生まれるどんでん返しを楽しみたい」

見どころ

脚本への評価が高い本作ですが、ジャンルはラブコメディかなと感じました。
広末涼子演じる水嶋香苗の結婚宣言からはじまり、物語が展開する時にはキャラクターの恋愛観が物語の推進力にもなっています。

ただし恋愛観を押し付けることはなく、脚本賞受賞にふさわしい「W主人公が入れ替わる事で生まれたミステリー展開」も面白くて、ラブコメ・ミステリーの良いトコどりをした万人受けする作品なのは間違いないです。

内田けんじ監督作品

過去作の「アフタースクール」も見ごたえのある話の展開で、序盤に投げかけられた謎とどんでん返しからの物語のキレイな着地をする作品。緊張と緩和から生まれる笑いは本作にも通じるものがあり、未鑑賞の方はこちらもおすすめします。

キャスト

今でこそ半沢直樹で人気を博している堺雅人と香川照之。
関係性もキャラクターもかけ離れていることもあり、2人の掛け合いが新鮮に映るのでは無いでしょうか。

堺雅人(桜井武史)
桜井武史はハンパ者の売れない役者。しかしどこか憎めない人間味があり、このキャラクターに共感出来てしまうこともありました。”演技が下手な役者”という難しい役柄もピッタリとハマっていて、さすが堺雅人だなと思いました。

香川照之(山崎信一郎)
山崎信一郎は事故により記憶をなくした殺し屋。殺し屋を思わせる厳格さと、記憶をなくした後の腑抜けの表情の演じ分けは「素直に凄い!」と同時にコワくなってしまうくらいに見事でした。

広末涼子(水嶋香苗)
水嶋香苗は誠実な結婚を目的に相手を探す出版編集長。おカタイ感じはあるものの、好きな事へはまっしぐらという印象。
笑った表情が少ないものの、仕草や言動から「かわいい」と思わせてくれる存在。
主役2人に引けを取らず、物語の核心に迫っていきます。

荒川良々(工藤純一)
工藤純一は、山崎信一郎に仕事を依頼するヤクザ。
コメディタッチなキャラで普段の荒川良々のイメージ通りの見せ場と役柄通り目が据わった笑顔は不気味でこちらもハマっていました。
余談ですが、普段は笑ってあげてるけど実際は冷めてるみたいな人が一番コワイ。

あらすじ

水嶋香苗は結婚相手を探している。条件は「努力家」、「真面目」だけ。迫る結婚予定日に焦る香苗、結婚は療養中の父を安心させる為だから。

山崎信一郎は完璧に仕事を全うする。いかなる内容でも必ず遂行し、どんな証拠も残さない。この日は工藤の殺人依頼を終え、返り血を拭うために銭湯へ向かった。

桜井武史は自殺に失敗した。売れない役者生活に絶望したのか、金のない生活に嫌気が差したのか、はたまたその両方か。自殺も諦めて、わずかな所持金と銭湯タダ券を握りしめて、桜井も銭湯へと向かった。

銭湯の脱衣所で偶然にも隣同士になった2人。

山崎の財布の厚さを羨みながら先に準備を済ませた桜井は汗を流すが、金もなければ石鹸もない。隣の人の石鹸を勝手に拝借しようとしてあっけなくバレる。

が、手から滑り落ちた石鹸はツルツルと風呂場を縦横無尽に滑り、後から入ってきた山崎の足元へ。山崎は頭を打ち、桜井はどさくさに紛れて山崎のロッカーキーと入れ替え山崎としての生活が始まり、山崎もまた桜井としての生活が始まる。

桜井としての生活は金がないながらも殺し屋時代の面影が残る強面を武器に、悪役が板に着いた役者となっていく。

そんな役者一辺倒の山崎に惹かれていく香苗、無事結ばれる2人だったが、不幸にも香苗の思い出の曲によって山崎の記憶が戻り、そして殺し屋が目指すのはもちろん自分になりすました桜井。

しかし工藤からの依頼に応えられずにいた桜井のせいで命を狙われていることを知り
桜井と共にある計画を立てていく。

共感したシーン

「何かを学ぶための本を最初の数ページで読んだ気になってんじゃねぇ!」

ハンパな桜井に対して記憶が戻った山崎が放ったセリフ。
桜井として生活していたため、ずさんな行動が癪だった様子。

でもこれ桜井の行動はすごくわかるというか、よくやってしまうことがあるので
「桜井お前もか〜」って一番印象深いシーンになりました。

「知り合いになってくれますか?」「もう知り合いじゃないんですか?」

山崎と香苗のファーストコンタクトで掛け合ったシーン
この距離感でドギマギしてる様子は年齢とか関係なく良いものですね
このシーンでまんまとニヤけてました。

まとめ

主役2人の入れ替わりの設定に負けない香苗との恋愛と普通とはズレた摩擦による笑いがあります。キャラクターの造詣も深く、押し付けがましさを感じなくて、とても観やすい一本でした。
  

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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